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大理石の物語

第一章 ヨーロッパの人と街と大理石と

第二章 大理石の山 、環境 、切り出す人たち

第三章 大理石にいのちを吹き込む人たち

第四章 大理石のテーブル

 

大理石の物語 第一章

ヨーロッパの人と街と大理石と

 

ケルン大聖堂     代表的なゴシック様式の教会です

1248年に始まり600年もの歳月を掛けて造り上げられたヨーロッパの人の魂。

心の底の深い所から揺さぶられます。

ケルンメッセ

ケルン国際家具見本市が1月に開催されました。世界50の国から1300社以上の一流メーカーが出展するインターナショナルファニチュアーフェアー

フランスNo.1 ロゼ社のブースです。ここは4月のミラノサローネには出展しません。何故ならば 彼らはプライド高いフランス人ですから。

イタリアを代表する最高級ソファーメーカーです。

イタリア人同士でしょう、FIAT500という可愛い車にこのメーカーの高級革を張った特別仕様車を日本で出していました。価格は普通でした。買った人は100万円は得しています。余計なことですが。

FIAT500:イタリアの街で一番見かける車で 小さいけれど元気に走り回っています。ドイツでもたくさん走っていました。

フィアットごひゃくと呼ばないで下さい。イタリア人は ただ  チンクエチェント(500)と言っています。

(2019年1月18日夜、ピサの路地裏で)

ケルンの中央駅に輝くオーデコロン(ケルンの水)

この光景 好きです。

フランクフルト駅のフランクフルトソーセージ屋さん

 

アルプスは今、雪に覆われています。

今からイタリアです。

朝5時起きで ドイツフランクフルトからイタリア中部のボローニャ空港に到着しました。

Kiss & FLY イタリアですね

ボローニャ空港から中央駅までバスで40分です。

ボローニャ駅は外から見たら小さいのですが、地下4層になっていて 実際は  複雑で巨大な駅です。

イタリアの中央に位置していて、ミラノまで1時間,フィレンツェまで30分、ローマまで1時間、ナポリまで3時間、ベネチアまで1時間半、交通の要所です。

ちなみに、フランスのパリからドイツのケルンまでベルギーのブリュッセル経由で3時間です。

通貨もユーロで統一されているし、イミグレーションも無いし、ヨーロッパは一つの国のようです。いろいろ大変ですけど、個々の利害を超えて理想に向かってゆく姿、素晴らしいと思います。

がんばれEU

ボローニャ駅はトイレも大理石で作られています。

フレッチャロッソ(イタリア語で赤い矢)、イタリアの新幹線です。

30分でフィレンツェ(サンタ マリア ノヴェッラ)駅に到着。 フロアーは大理石です。

ここから地方列車に乗り換えピサに向かいます。

ピサの斜塔

ピサから50㎞位の所にあるカラーラの採石場から切り出された ビアンコ  カラーラ(Bianco Carrara)の大理石で造られています。

ライトアップされいて 月明りで大理石の幻想的な白さが際立っていました。

ピサの街(夜)

ピサの街(朝)

Stazione Pisa Centrale(ピサ中央駅)

ピサの中心を流れるアルノ川

 

フィレンツェ

サンタマリア デル フォーレ(花の聖母教会)

1296年に建て始められた、透き通るような白と淡いピンクとグリーンの大理石で飾られた優美なゴシック様式の教会です。

同じゴシック様式の教会でもドイツとイタリアでこんなにも違うものか思います。

横に洗礼堂とジョットの鐘楼があります。これらも大理石で造られています。

 

サン・ロレンツォ教会(San Lorenzo)

スタッフの人でしょうか  ボランティアの人でしょうか、40歳位の知的な男性に話しかけたら、教会に対する熱い思い、プライドが伝わってきて思わず話し込んでしまいました。話したいことが もっともっと とあふれていました。

創建は4世紀で、13世紀に再建されたそうです。

外側は粗いレンガ積みですが、説教壇は1460年代に作られたドナテッロの最後の作品だそうです。

 

建物の内部は総て 見事な大理石で造られていました

大理石は、水中の様々な物質や生物が沈殿堆積して出来た石灰岩が、マグマなどの高圧と高温で熱変性して再結晶した「結晶質石灰岩」です。

緻密で美しい光沢を持つことから、ギリシアのパルテノン神殿、ミロのヴィーナス、ミケランジェロのダビデ像、インドのタージ・マハール廟など古代から重要な建築・彫刻に多く使用されました。

大理石は結晶化した石灰岩という成り立ちから、基本は透き通おるような白い色ですが、マグマの高圧と高温で熱変性する過程で、様々な要素が加えられ、赤とかグリーンとか 様々な色と模様が生まれてきます。

透き通るような白い大理石の気高い像

大理石に彫られた説明書き

ドナテッロの説教壇(PULPITI)

火山の爆発を思わせる荒々しい迫力のある大理石。勿論加工したものではありません。自然の模様です

華やかでしかも重厚な大理石の象眼が施された祭壇

大理石の床、傷んでいますがすごくいいです。

中庭とそれを囲むファサード

 

下の写真は  街の普通の路地と風景ですが、教会の内と外とが違和感がなく同じ空気を感じられます。

同じ空気、当たり前か。何だろう。

同じ雰囲気、同じ匂い、同じ世界、同じ心、・・・

言葉は難しい。

同じ謐な空気、同じ静けさ、同じ歴史、同じ人のいとなみ、同じ色、同じ古さ,同じ息づかい

今の所、これがベストでしょうか。

街をつくるのはそこに生きている人ですから

夜の暗い路地は、ピサ、フィレンツェ、パリ、根本においてヨーロッパは同じ文化だなと感じさせてくれます。

 

Mercato Centrale(フィレンツェ中央市場)

陳列台は大理石です。教会のように立派な品質ではありませんが、大理石が普段使いされています。

フィレンツェの中央市場とはどんなところか、と期待していました。

羊の頭とか,脳みそとか、豚の耳とかがどんと並んでこちらを睨んでいる、サフランとか、見たこともない香辛料、とか野菜が山積みしてある光景。

実態は観光客相手の普通のお店でちょっと残念でした。自分も観光客ですの偉そうには言えませんが。

近所のおばあちゃん

観光客

日本語で話しかけられたので、アナタ日本語ガオ上手デスネとほめたら、日本人の売り子さんでした。日本人のお客さんが来たのですぐ離れていきました

日本に住んでいる日本人と、海外で自分で生きている人は顔つき・目つきが違います。だんだん多国籍化してインターナショナルな顔になります。男も女もたくましい、輪郭のしっかりしたいい顔に変わります。そうじゃないと異国で一人で生きてゆけないのだと思います。(異国に住んでいても集団でいる人は日本人の雰囲気、顔をしています。)

鏡を見たらそこにはボーとした顔が映っていました

クロネコも頑張っています。

ホテル

今回、ドイツ、イタリアで7泊しましたが、安いホテルでしたので、すべてシャワーのみでした。

しかし、安くても、フィレンツェのホテルのバスルームは流石にビアンコカラーラの大理石を使っていました。やっぱりいいですね。

当然、仕入の場合は経費節減の為、安いホテル、格安航空機、公共交通機関使用、タクシーは使わない、水は水道水となります。

でもチップはきちんと払います。働く人への感謝の気持ちですから。これはけちったらいけません。

 

ウッフィツィ美術館(Galleria Degli Uffizi)

エントランス

冬の日が暮れるのは早いもので5時過ぎには真っ暗です。

チケットです。12ユーロ(約1,500円)。

6時閉館で、1時間足らずしか時間がありませんでしたが、とんでもなく価値がある1時間でした。

素晴らしい絵と彫刻が沢山並んでいました。

気持ちがいいです。心が洗われます。清らかな豊かな心になりました。

ボッティチェッリ

誰の絵か忘れました。素晴らしかったです。

この人の名前も忘れました。本当にいい絵です。

ヴェロッキオとレオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチ

レオナルド・ダ・ヴィンチ

ラファエロがいっぱい

ラファエロかな、間違ったらすみません。裏にも立派な絵が描いてありました。描いた本人からすれば書き損ないでしょうが素晴らしい作品です。美術館の人が裏も見せたい気持ちが良くわかります。でも勿論表の方がもっと良かったです。

2月の初めに「美の巨人たち」という番組がテレビでありました。ウッフィツィ美術館収蔵の名画で、イタリアのお札にも肖像が載っているカラヴァッジョという人の傑作「バッカス」の30分の特集でした。

その傑作はどこにあったんだろうか・・・

ここはあまりにもいい絵がありすぎます。

 

きれいな女性の係りの人がベルニーニ(bernini イタリア語はローマ字読みですので楽です)はとても素晴らしいからぜひ見たらいいと言ってくれました・・親切な女性はみんなきれいになるのです・・

一番奥の部屋で輝いていました。

時間が過ぎていて恐縮してしまいましたが当然ですという顔でした。こういう人達は好きです。

 

ベルニーニ

バロックのミケランジェロと呼ばれた

彫刻家としてだけでなく、建築家としてもバロック時代を代表する。

ヴァチカンのサンピエトロ大聖堂の天蓋付き祭壇、サンピエトロ広場はその空間の遠近感、スケールの大きさで建築家としての非凡さを示すものである。

 

出口の守衛のおじさんにも遅くなってすみません、とちゃんと謝ったのですがむっとしていました。これが彼の仕事だからこれはこれで当然だと思います

フィレンツェ、ピサなどトスカーナ地方のたくさんの街にある大理石の文化、建築物、彫刻美術、調度品等々はフィレンツェから100キロ位にあるカラーラ地方のマッサの山から良質の大理石が産出した・・現在も産出している事から起っています

 

ビアンコ  カラーラ(Bianco Carrara) 

ビアンコはイタリア語で白、カラーラ地方で産出する白い大理石という意味です。

ビアンコ カラーラは色、模様によって大きく分けて3つに分類されます。

一般的なものから高いものまで5倍以上の価格差があります。

 

ビアンコ  カラーラ  スタテュアリオ(Bianco Carrara Statuario)

彫像用。非常に高価。美しく、混じり気のない白の為、ミケランジェロのダビデ像などの彫刻に使われています。

 

ビアンコ  カラーラ  カラカッタ(Bianco Carrara Carracatu)

白に薄いグリーンとかグレイの美しい模様、高価。

 

ビアンコ  カラーラ(Bianco Carrara)

一般的によく使われている大理石です。

 

大理石は1つ1つすべて色、模様柄が違います。高いからいいという事も無いし、安いから悪いという事もありません。あくまで自分が好きかどうか、お部屋に合うかどうかだと思います。

 

大理石は適度に柔らかいので繊細な表情まで彫刻することが出来るし、白く緻密なビアンコカラーラは磨けばつややかな肌をも表現できるのです。

戦いの様子が彫刻された大理石の櫃だそうです。

上の写真の左上に座っている、よく映画に出てくるような太い眉毛で丸顔の イタリア人顔のおじさんがいろいろ親切に説明してくれました。

子供のための小さな櫃という事です。

すごいエネルギーです

台座の大理石は、 家具としては強すぎて使えない色  模様ですが、彫刻本体がもっと強烈ですのでバランスがとれています。

絵も彫刻も、男も女も、裸ですが、だから人間の素晴らしさが表現されていました。

もしこれらの彫刻が服を着ていたら さぞかしつまらないだろうなと思いながら観ていました。

みんな写真を撮ります。自分の思い出の為に。

日本でこれをやったら係りの人が飛んできます。

素人が写真を撮っても、プロみたいなものは撮れないし、問題ないと思いますが。

フラッシュはダメですよね。絵がいたみますから。

 

ついでにもう一つ。日本の美術館にはゆっくり休憩できるデザインのいいベンチがほしい。美術館、博物館を観るのはエネルギーを使います。我々年寄りは疲れてしまいます。

むかし、モネの睡蓮を飾ってあったオランジェリー美術館。40~50メートルある大きな横長の絵。建物を睡蓮の絵に合わせて360度丸く作り、その中に丸いベンチ。それが3部屋か4部屋ありました。朝の光り、昼の光り,夕方の光り、それぞれ違う睡蓮の池の中でとても気持ちがよくてつい、うとうと、ゆったりとした夢の睡蓮でした。

美術館は鑑賞ではなく、楽しく心が豊かになる気持ちのいい空間が良いですね。

※これは芸術に素人の私の勝手な感想です。プロの芸術にたずさわる人にはごめんなさい。

 

家具の場合はプロとして、掘り下げて、掘り下げて、徹底的に追求・研究します。

その家具が創られた歴史、歴史の中での位置づけ、その家具が生まれた風土、その家具に使われている素材、作っている人の技量・思い、そのほか沢山あります。

気持ちいいとか、楽しいというのは全くないですね。でも苦しくはないですね。家具を好きですから。

 

※コピー商品の場合は、歴史はない、風土も違う、素材は安いもの、作っている人の技量は低い、それに込める思いもない。ただ形は似ている。値段は安い、としか語る内容がありません。

 

誰もいなくなりました。閉館です。

 

フィレンツェで涙が出ました。

1月の寒い広場で凛と背筋を伸ばしてゴーゴーと荘厳に弾く青年。音をお聞かせできないのが残念です。

おじいちゃん、おばあちゃんも座って聴いています

女の子はお父さんの背中を見ています。

女の人も。

この後、左下の家族の男の子がお金を置きに行きました。

感動して、そして素直にそれを行動に表わす。この子は感性の豊かな人になると思います。

私もちょっとだけですがお金を置きに行きました

お金って使い方でこんなに素晴らしいことが出来るんですね。

 

フィレンツェ、たった1日でしたがすごく良かったので つい書くのが長くなってしましました。

 

ホテルのレセプションのFrancesco Bussottiさんをはじめとして他のスタッフの方にも適切なアドヴァイスをしていただき、また荷物を運んでいただいた方もみんな親切で気持ちが良かったです。

今回は大理石が実際に、建築に、彫刻芸術に、生活にどう使われているかという事がフィレンツェ、ピサ訪問の目的でした。あらかじめFrancescoにメールを送り、フィレンツェで大理石の関係で参考になる所をチェックしてもらう様に頼んでいました。たった1泊でしたが、ありがとうFrancesco。

 

ウッフィツィ美術館に入館したのが閉館の50分前でギリギリでしたが、美術館の人も嫌な顔一つせず色々熱心に説明して頂きました。

サン  ロレンツォ 教会のスタッフの方も教会やフィレンツェへの思いを熱く語られ印象的でした。

中央市場の日本人の女の子も異国で一人で頑張っていました。

ホテルの人、美術館の人、教会の人、レストランの人、お店の人、警察官,イタリア人、外国人、みんなみんなフィレンツェを愛してプライドを持って、フィレンツェという街と文化を作り上げているんだなと感じました。

 

大理石の物語 第二章

大理石の山 、環境 、生み出す人たち 

 

カラーラが目的の大理石鉱山です。

ピサ出発。

快晴。大理石鉱山まで約50㎞。

高速道路に入ります。

空の色と雲の形がきれいでした。

見えてきました。左上、木の右に小さく見える白い山、大理石の山です。

だんだん近くなって来ました。

フォルテ・ディ・マルミ・・大理石の加工産地です

大理石の加工工場がズラーと並んでいます。

採石場からブロックで運んできて、ここで薄くスライスしたり、使い易い様に加工します。

そして世界一の大理石の産地として、全世界に輸出しています。

直進はジェノバ、カラーラ方面は右折です。

Cave  di  Marmo (大理石採石場)

マッサ (Massa) の街につきました。

街乗りのジープから本格的な4輪駆動へ乗り換えです「ランドローバー、・  ディフェンダー」 軍用などにも使われているそうですが、ほとんど道がない大理石の鉱山を力強く危なげなく走り回りました。すごい車でした。

ガイドさんもフレンドリーでいろいろ詳しく説明してくれました。

マッサの大理石の会館です。

まだ舗装道路です。

カラーラの鉱山の入口に着きました

この橋は昔、鉱山から大理石を運んだ鉄道に使われていたそうです。

大理石の採石場跡です。

雨で表面が黒くなっていますが、中はきれいな白色です。

カラーラは古来ビアンコカラーラ(カラーラの白)という最上質の大理石産地として知られていました

古代ローマの神殿、ルネッサンス時代の彫刻・建築、1820年代に造られたロンドンのハイドパーク北西にある大理石の門「マーブルアーチ」、2007年に完成したアブダビのシェイク・ザイード・モスクなど重要な用途に使われています。

 

↑   ファンティスクリッティ鉱山(CAVE)

←   1、ペスチナ鉱山 2、トラノ鉱山

↑ 3、ミゼリア盆地(BACINO)

← カロカラ鉱山

全山、右も左も真ん中も大理石のCAVE(鉱山)です

長い歴史の中で200以上の鉱山がありました。今でも100以上の鉱山が活動している質量ともに世界一の鉱山群です。

道の側面は大理石を積み上げています。

山のカフェー  &  バー

コーヒーブレイク、1ユーロ。

これは珍しい、大理石のパスタ麺棒です。

1個買いました。

おいしい手打ちパスタが打てました。

しかし重い手荷物でした。

お詫び  及び  訂正

麺棒と思っていましたら、プロの方から指摘がありました。パティシエが生地を作る時、温度が上がらない為に大理石を使うそうです。ごめんなさい。素人が偉そうな事を言ったら失敗しました。

道路

大理石の山を切り開いて、車が通れるようにしてある道です。

上からの落石は大理石のブロックでせき止める。大理石が一番手近な材料だから。

下に落ちたら・・超重量トラック用に頑丈に造られています。多分・・大丈夫でしょう。

鉱山を走り回っていたら、急に「マイコランジェロ、マイコランジェロ」と指差しました。

「マイコランジェロ」ってなんだと聞くと、「ミケランジェロ」が彫刻した大理石がこの鉱山から切り出されたという事でした。「Cave of Michelangelo」、今はもう採掘はされていないそうです。

ミケランジェロはイタリア人の誇りです。

「マイコランジェロ」は英語の発音で、イタリアの発音は日本と同じ「ミケランジェロ」なのです。

イタリア語しか話さないイタリア人が一人、イタリア語と英語が話を話すイタリア人が2人。日本語と英語を話す日本人が2人、でこうなりました。

まあ、確かにこちらはイタリア語が話せないので、英語で会話をしていましたが、イタリア人が 「マイコランジェロ」とは。 彼らも混乱しています。

 

大理石鉱山です。

CAVE(鉱山)の一つです。

大理石は結晶質石灰岩ですので、削ったり、砕いたら石灰岩になり、白色の道になります。

鉱山の中です。

水が溜まっているのは、大理石を切る時に水を掛けながらカットするからです。

最適なサイズにカットします。

高価なものです。1つ1つの大理石がすべて違います。慎重にチェックして、カットする個所を決めて、指示します。

ダイヤモンドの刃の巨大なチェーンソーです。

これが大理石カッターの刃です。

大理石のチェック、仕入れです。

大理石の上でカットの指示をしていた責任者と話しながら煮詰めてゆきます。

自分たちが欲しい大理石の、基本の色・柄、縞の色・柄、価格を考えながら、慎重に選びます。

下の白い部分が大理石で、上のグレイの所はただの岩石です。

ビアンコ  カラーラのかけら。純白に輝いています。

 

ラルド・ディ・コロンナータ(Lardo di Colonnata)

大理石の箱に豚の背脂をニンニク、ローズマリー,コショウ、セージなどどともに塩漬けにして6カ月以上熟成させてものである。

起源は2000年以上前にさかのぼり、当時この地で大理石加工に従事していたギリシア人たちが考案したと言われている。(ウィキペディアより)

※ラードではありません。ラルドです。

鉱山を走り回っていたら、小さな村がみえました。

あれは何ですかと聞いたら「コロンナータ」だという答えでした。

えっ、あそこが「コロンナータ!!」

行きますか?

もちろん行きます。 ぜひ行きます。

イタリア料理のシェフにこの話をしたら、絶対うらやましがると思います。

ただ、要するに脂だけの生ハムですので、筆舌に尽くしがたいほど美味しいのですが、今の時代の健康生活をしている人には真反対の食品です。

何の本で読んだか忘れましたが、18世紀のパリ、今のように綺麗でおしゃれでない時代、街には野良豚が歩き回っていた頃、脂身の豚肉は太った肉で価値があり、脂身のないのは痩せた肉と呼ばれ価値がなかった、という事です。 ちなみに牛が食べられる様になったのはずっと後の時代です。

私は健康に悪い、太った肉が好きです。

広場の床も地元のビアンコカラーラの大理石を敷き詰めています。

ラルドは  一時  駄目になったが、伝統を大事にするスローフード運動で蘇ったそうです。

人口  何百人の小さな村です。

この後、2つの鉱山に行ってきました。

下山です。

マッサの街に戻って来ました。

 

文化を守る人たち

「左を見たら、面白い像があるよ」イタリア人ドライバー,

車から見ていると、キリストが ずーーとこちらを見ています。

「スゴイね」とりあえず返事しました。

中に彫刻が見えるので、「作業場を見たいね」

「ああ,いいよ。話付けてくるから待ってくれ」

「OKだって」

なんか、見たことがあるな。お土産の工場か。

と思ったら、・・・なんと本物の工房でした。

街で売っているのは、レジン(樹脂)とか石膏です

これはビアンコカラーラの本物の大理石の彫刻です

高いだろうと思ったら、恥ずかしいことに、用途が違っていました。

中に入ります。

小さな工房です。

この工房・ミラノの大聖堂の修復の為の工房でした

新聞紙の帽子をかぶった人、まじめな顔をした人、ひげをはやした人。

プライドを持って、楽しく、真剣に作っています。

ミラノの大聖堂は、ミラノの街の人が、何百年の間お金を出しあって作り上げた、という話を聞いたことがあります。

素晴らしい文化はそれを創りたいという強い意思があり、そしてそれを実現しようとする行動が作り上げると思いました。

フィレンツェでもピサでも、ケルンでも それが我々を感動させます。

 

鉱山で働く人の碑です。

過酷な職場です。

毎年4、5人が亡くなるそうです

 

 

大理石の物語 第3章

大理石にいのちを吹き込む人たち

大理石の山を採掘し、巨大なブロックをテーブルに適した厚さ、サイズに加工した大理石が、工場に入荷しました。

近くのカラーラ鉱山をはじめイタリア各地からは勿論、スペイン、トルコ、イランなど世界から、様々な種類、色、サイズが集まってきています。

一つ一つすべて違うので、その柄、色が一番映えるように、またお客様の注文のサイズに合わせて、心をこめて作り上げます。

一週間に一度入荷しますが、どんどん在庫が減ってゆきます。

入荷時の形は様々ですので、これをカットします。

茶に赤いライン、これは面白い柄です。

大理石をカットする時は、水を掛けながら行います

重いので、カットした大理石テーブルは一枚一枚、次の工程に、慎重に移動します。

 

ありがとうございます。

今日はこれで終わりです。

 

4月8日からミラノに行きます。

しばらく、大理石の物語はお休みします。

ミラノサローネという、年に一回開催される、世界で一番魅力的な家具の展示会です。

家具っていいなと思えるような、家具の夢が展示会場だけでなく、ミラノの街中にあふれています。

美術館、教会、インテリアのショールーム、スーパーブランドのお店、普通のお店(普通とは言っても、昔からのガンコな歴史をしょった店で、あんまり普通ではないんですが・・こんな専門店がヨーロッパにはたくさんあります。)、さては道路までにも面白い意匠があふれています。

世界中から夢を見たい人、夢を見せたい人がミラノの街中にあふれています。

自分の夢を0から考えるデザイナー、それを実際の形に作り上げるメーカー。

ちなみにヨーロッパでは、創造力のあるデザイナーが一番尊敬されます、スーパースターです、メーカーはそれを作る人です。

(もし人のコピーをしたらデザイナーとしての評価は0になります)

多くの人の思いが積み重なって、こんなとんでもない、素晴らしい世界になっています。

40年前には、1月にケルン(ドイツ)、4月にミラノ(イタリア)、5月にコペンハーゲン(デンマーク)、9月にバレンシア(スペイン)、などの大きな家具の展示会がありました。

ケルンの展示会だけがインターナショナルで、他はインターナショナルとは言っていましたが国内向けのドメスティックな展示会でした。

ミラノの展示会も、今は電車で40分位かかる郊外の大きな会場ですが、昔は市内で小さなゴチャゴチャした会場でした。それはそれでおもしろかったですが。

30年前はイタリアのメーカーも安い商品をたくさん作っていました。ところが20年位前から安い商品を作るメーカーがどんどん無くなっていきました。あれっと思ったら中国に行っていました。会社ごと中国に移転したメーカーもあるし、人だけ行った場合もあるし、中国のメーカーが同じ様な商品を作ったり、様々でした。

イタリアから安いメーカーが無くなってイタリアも苦しかったのですが、オリジナル性のある、ほんとに良い物、面白い物を作っていたら、世界中の人がイタリアに見に来て、買いに来るようになりました。

久しぶりに1月のケルンの展示会に行きましたが、中国初め東南アジアの商品の会場が5会場位占めていて、昔のように素晴らしい物を展示しているというイメージは無くなってしまっていました。

それに対して、ミラノサローネは、中国のメーカーは0です。中国人のバイヤーはたくさん来て、たくさん買っています。

この頃は中国もオリジナリティのあるいい商品も作り始めていますが、これはミラノサローネの人のこだわりでしょう。

値段ではなく、自分の好きなこと、やりたいことを、突きつめたら、こんなことになってしまいました。

結果として、家具ってこんな素晴しいものか、いうなれば家具のお祭り、行ったことはないけれど「リオのカーニバル」、「博多どんたく」、「阿波踊り」の様な、わくわく人を幸せにする催しになってきています。

 

ミラノサローネはたくさんの人の、ブログ、ツイッター、インスタグラム、が出ますのでご覧になったら面白いと思います。

私は年寄りですのでゆっくりまとめてご報告いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

つれづれなるままにパソコンに向かひて、大理石の話を少しづつつづってゆこうと思っています。

ここはつまらんとか、ここは面白いとか、こういう風にしたらいいよとか、これを調べてくれとか、なんでも結構です。

皆様の意見を反映してページを作ってゆきたいと思います。

やさしい あたたかいアドバイスをお待ちしています